いよいよ総選挙、”争点の優位性とは”

いよいよ選挙が近づいてきた。

今回は最長の選挙期間とあって、何が起こるかわからない。それだけに興味津々である。長年にわたり、選挙関連の仕事に携わる機会が多かったが、やはり選挙での勝敗を決める大きな要因の一つが”争点設定”である。

「争点を先に設定した方が勝つ」というのが実感である。

多くの選挙が「XX選挙」と銘々されている。4年前の総選挙は「郵政選挙」と呼ばれた。通常、この選挙という言葉の前にくるのが争点を示している。

2003年の総選挙は「マニフェスト選挙」、2004年の参院選挙は「年金選挙」などである。2007年の参院選挙はなぜか争点が明確ではなかった。どちらかというと小沢民主地上戦vs安部自民空中戦の構図の中で、自民党の敵失によって民主が勝利した選挙で争点がない、珍しい選挙であった。

今回の総選挙は、すでに早い時期から民主が「政権交代」選挙と土俵を引いた形になっている。これは2003年の総選挙において民主がマニフェストを全面に押し出し、争点化した動きと同じである。

争点を早く設定したということでは、やはり民主優位である。

ところで与党の方はというと、公明党は「政権選択選挙」としきりと唱えている、一方で自民党のほうは、麻生総理が解散記者会見の時に述べた「安心生活実現選挙」を争点としている。どうも与党のほうはバラバラ感が否めない。

そもそも”争点”にはひとつの構造がある。「二者択一」という構造である。

争点の役割は、有権者に「二者択一」を迫ることである。

3つや4つの選択しを与えてはダメなのである。2つの選択枝のうち、一つを選ばせるのである。投票行動とはそのようなものである。投票する直前までに「二者択一」の状況に有権者を追い込むことが選挙戦の基本である。

この「二者択一」の構造を持っているかどうかが、争点の優越を決める。

2003年のマニフェスト選挙は「マニフェスットYes or No」、2004年の年金選挙は「年金一元化Yes or No」、2005年の郵政選挙は「郵政民営化Yes or No」とすべて「二者択一」の構造をもっている。

この視点から各党の総選挙に対する争点を評価する。

民主党は「政権交代Yes or No」である。公明党は「政権選択Yes or No」、一様、二者択一の形にはなるが、基本的には政権選択できる方が誰が見ても言い訳なので、実質的には二者択一ではない。また、政権選択Yesと有権者が選んだとしても公明党に必ずしも投票するとは限らない。

民主の「政権交代Yes or No」は、自民・公明与党政権を続けるのか、続けないのかという50/50の二者択一の判断を有権者にもとめる。もし、政権交代Yesであれば、ほぼ確実に民主に投票する。この意味から、民主の争点「政権交代」は評価できる。では自民党の「安心生活実現」はどうであろうか。

「安心生活実現」は誰も反対はしない。つまり50/50の二者択一の構造になっていない。また、安心生活実現Yesと答えた有権者が必ず自民党に投票するということもない。

よって民主「政権交代」、自民「生活安全実現」の争点の優越を比較すると民主が確かに優れた争点設定を行っている。