フライシュマン・ヒラード 朝喝(アサカツ) :“非日常”を創り出す

フライシュマン・ヒラード 朝喝(アサカツ)

今回からこのブログでシリーズの連載をスタートいたします。(詳しくは前回を参照)

このフライシュマン・ヒラード 朝喝(アサカツ)シリーズでは、フライシュマン・ヒラード・ジャパン・グループで毎週行っている社員向けのスピーチの一部を紹介していきます。最新のコミュニケーション・ビジネス事情、心得など社内で話しているテーマを垣間見ることができます。

昨日鎌倉で新年の初釜に参加してきました。初釜に参加するようになってから4年。慣れも手伝ってか、今年はあまり緊張せず、茶道のプロセスの中で自分の描いている動作を確認する余裕をもつことができ、少しは上達していることを実感できました。

自分にとっての茶道の効果とは、やはり“非日常”に接することです。茶道は3つのことで“非日常”をつくります。①空間(茶室、庭など)②道具(茶道具、掛け軸、生け花など)③動き(作法、挨拶、歩き方、座り方、立ち方、など)です。

非日常を経験することが日常の集中力を飛躍的に高めます。結果として、新たな発想や視点が生まれるのが最大の効用だと考えています。

先週、フライシュマン・ヒラード・グローバルのInternational Advisory Board メンバーの入交さんとコミュニケーションのビジネスにおける“集中力”の重要さについて話し合う機会がありました。

入交さん曰く「集中力をずっと持続させることは基本的に人間にはできない。大事なことはメリハリをつけ、集中する時としない時とオン・オフを切り替えること。これは意識してもダメで、自分をそのような環境に追い込むことが必要となる。

特にコミュニケーションのビジネスの場合は車やゲーム機器を売っているのと違って、“モノ”に頼れない。自分自身そのものが商品であり、サービスである。よって、集中力の欠如は、即、顧客に対するサービスの質の低下につながる」と。

そこで入交さんが強調していたのが、“非日常”に接することの大切さでした。入交さんも日頃から様々な方や企業のコンサルテイングをしている関係から、集中力の質を上げるためにいろいろな気を配っているそうです。

知っている人もいると思いますが、入交さんは今、アジアのシルクロードをバイクで完全走破を目指して頑張っています。中国から始まり、トルコのイスタンブールを目指しています。全体の行程を7つほどに分け、2年ごとの恒例行事として、それぞれのステージを走破、昨年はカスピ海に到達したそうです。

また、年に一度、国内外のフルマラソンに参加、昨年は宮崎マラソンを完走しました。これが入交さん流の自分を“非日常”に追い込む工夫です。入交さんは今年で71歳になりますが、そのパワーの凄さにはいつも驚かされます。

いずれにせよ、集中力の是非がコミュニケーションのビジネスで成功の成否を握るといっても過言ではないと思います。“集中力”の是非が我々の仕事の質に影響します。

集中力を持続する努力をいくらやっても、集中力の質が劣化するだけで、逆に効果・効率が悪くなり、アウトプットの低下を招いてしまいます。新たな発想や視点をどれだけ持てるかが、コミュニケーションという世界で生き抜くためには重要です。

新年の挨拶の時に一人ひとりが輝くという話をしたが、まずは自分の集中力の質の改善から取り組むのも一つのステップです。“非日常”を自分であえて作り出す。

そこに自分を追い込み、“非日常”を自分ごと化する。意図的に“非日常”をつくり、集中力の質を上げることが皆さんが個々に輝いて行く上でひとつの鍵を握ると考えてください。

茶道が僕にとっての“非日常”であるように、各自がそれぞれの“非日常”を創り出すことを真剣に考えてほしいと思います。

~~~~~~~~~~~~~~~筆者経歴~~~~~~~~~~~~~~~~~

田中 慎一
フライシュマン・ヒラード・ジャパン 代表取締役社長

1978年、本田技研工業入社。
83年よりワシントンDCに駐在、米国における政府議会対策、マスコミ対策を担当。1994年~97年にかけ、セガ・エンタープライズの海外事業展開を担当。1997年にフライシュマン・ヒラードに参画し日本オフィスを立ち上げ、代表取締役に就任。日本の戦略コミュニケーション・コンサルタントの第一人者。近著に「オバマ戦略のカラクリ」「破壊者の流儀 不確かな社会を生き抜く”したたかさ”を学ぶ 」(共にアスキー新書)がある。