「信長」をコミュニケーションの視点から考えるようになった理由2(コミュニケーション百景* 第4回)
(前回からの続き)
コーポレート・ブランディングの本質は、一言で言うならば、ある目的に向かって、システマチックに人々の意識変革を行い、人々の行動を駆り立てる一連のプロセスである。
別の表現をすれば、「リーダシップ」をコミュニケーションの視点から捉えたものである。
人間の社会であるから、何か事を成そうと考えたとき、人を動かさない限り何事も実現しない。
この、至って当たり前ではあるが、厳然とした事実を考えたとき、90年代のビジネス・リーダーたちだけが実践してきたものではないことに気づく。
人類がこの世に誕生して以来、リーダーと呼ばれる人々は何らかの方法で創意工夫し、人々を動かし目的を実現してきた。
コーポレート・ブランディングとは、多くのリーダー達が実行してきたことをシステマチックに、あるいは体系的に捉え、コミュニケーションという視点からより解り易いプロセスとして落とし込んだものである。
シーザー、ナポレオン、そして信長などの歴史上のリーダーたちが、どのように人々を動かしビジョンや目的を実現してきたのかを、コーポレート・ブランディングの視点から分析してみると、リーダーシップとコミュニケーションの関係がより鮮明になるのではないか。
今までリーダー論が語られるとき、コミュニケーションという切り口で説明されるケースがあまりなかったのではないか。
この際、「信長」という日本人の誰もが知っているリーダーを、コミュニケーションのアングルから見直してみると、新たな「信長」像が浮かび出てくるのではと考え、ブランディングという視点からの信長考察を始めた次第である。
*「コミュニケーション百景」。このシリーズのモットーは“コミュニケーションを24時間考える”です。寝ても覚めてもコミュニケーションを考えることを信条にしています。コミュニケーションでいろいろと思いつくことを書き綴っていきたいと思っています。
~~~~~~~~~~~~~~~筆者経歴~~~~~~~~~~~~~~~~~
田中 慎一
フライシュマン・ヒラード・ジャパン 代表取締役社長
1978年、本田技研工業入社。
83年よりワシントンDCに駐在、米国における政府議会対策、マスコミ対策を担当。1994年~97年にかけ、セガ・エンタープライズの海外事業展開を担当。1997年にフライシュマン・ヒラードに参画し日本オフィスを立ち上げ、代表取締役に就任。日本の戦略コミュニケーション・コンサルタントの第一人者。近著に「オバマ戦略のカラクリ」「破壊者の流儀 不確かな社会を生き抜く”したたかさ”を学ぶ 」(共にアスキー新書)がある。
☆twitterアカウント:@ShinTanaka☆