今、オバマが面白い!

「オバマ現象」とは何か。

老若男女を問わず、今まで動かなかった人々が突然オバマのコミュニケーションによって動き出したことである。

オバマは誰もが成し得なかった

サイレント・マジョリティー(Silent Majority)

を動かした。

別の表現を借りれば、その多様性ゆえに、「対立」や「分裂」を繰り返すアメリカ社会の中で、価値観の違い、世代の違い、人種の違いを乗り越えて、多くのアメリカ人の心や意識をひとつにした。

これは結構、凄いことである。

アメリカの社会をよく「トスド・サラダ(Tossed Salad)」のようなものに喩えられる。いろいろな野菜を器に投げ入れてかき回し、作るサラダのような社会といった意味合いであり、様々な人種、文化、宗教、習慣、言語が混ぜ合わさった社会がアメリカである。

それは正に、「多様性」の坩堝(るつぼ)。

「多様性」の実験室とでも言えるアメリカの意識をひとつにすることにオバマは成功した。

オバマのコミュニケーションが凄いところはもうひとつある。

多様性のある社会であるが故に、「対立」と「分裂」に苦しんでいたアメリカ人の意識をあれほどまでに「元気づけた」ことである。

多様性のある社会とは決して楽な社会ではない。様々な価値観、考え方、個性のぶつかり合う世界である。その中から新しい価値を生み出していく一方で、対立や分裂をいかに回避していくかが大きな課題となる。

その中で、人々の心や意識をひとつに保ち、元気づけることは至難の業である。
これを成し遂げたオバマのコミュニケーションにアメリカ人だけでなく、世界が驚いた。

このオバマのコミュニケーション力とは何なのか。その本質を探りたいという欲求が高まった。それは昨年の10月のことであった。

「多様性」は避けては通れない。
現代人のすべてが、この「多様性」という“もののけ”としっかりと対峙することが求められる。

個人だけではない、企業も、国も。

「多様性」という“もののけ”に対して身を守るだけでなく、それを利用、活用する武器が必要であり、それが新たなコミュニケーションというチカラである。

この新たなコミュニケーションのチカラを見極めたい。
オバマ現象にそのヒントは隠されている。

これからも、オバマが面白い!しばらく、オバマに注目したい。