コミュニケーションの世界で生き抜くための3つの秘訣(後編)(フライシュマンヒラード 朝喝(アサカツ)* 第5回)

(前回からの続き)もちろんデジタルのメリットは効率性です。

それは効果的なコミュニケーションをはかる上で非常に重要です。

しかしながら、「顔を突き合わせて、この話をするのは荷が重い、メールで済ませておこう」とか、あるいは「メールで伝えたからもういいだろう」などと思うときは、
Face to Faceコミュニケーションの精神的な負荷から逃げていると思ってください。

この逃げる姿勢が個々人のコミュニケーション力を劣化させていると自覚することが重要です。

TSさんが

「ソニーは会社の名前ではなく、生き方の名称である」

と話されました。

これを聞いたとき、自分も「ホンダという生き方をしている」と自覚させられました。

TSさんはソニー・スピリットをもって、自分の生き様を実現しています。

それがTSさんの個人としてのブランドになっています。

TSさんの生き方の中にソニー・スピリットという一本の筋がしっかりと通っており、それが強烈なメッセージ、あるいはオーラと言っても良いものを発信しています。

われわれの世界で生き残るには個人のブランドが重要な要素です。

所属する組織のブランド以上に、我々個々人のブランドを確立することがこの道で成功する秘訣です。

自分の生き方に何らかの名称を与えられるような哲学やスピリットを培ってください。

それが習得できればかなり迫力のある立ち位置がつくれ、個人としてのブランドを立てることができるでしょう。

繰り返しますが、
伝えるだけではなく、相手を動かす、そのために追い込んでいくというエンジニアリング発想をもつ。

Face to Faceのコミュニケーションから逃げない。

そして自分の生き方に一本筋を通す、スピリットを培う。

コミュニケーションで飯を喰っていく上で重要です。

心してください。コミュニケーションの世界で生き抜くための秘訣です。

*「フライシュマンヒラードの朝喝(アサカツ)」。このシリーズでは、フライシュマン・ヒラード・ジャパン・グループで毎週行っている社員向けのスピーチの一部を紹介していきます。最新のコミュニケーション・ビジネス事情、心得など社内で話しているテーマを垣間見ることができます。

~~~~~~~~~~~~~~~筆者経歴~~~~~~~~~~~~~~~~~

田中 慎一
フライシュマン・ヒラード・ジャパン 代表取締役社長

1978年、本田技研工業入社。
83年よりワシントンDCに駐在、米国における政府議会対策、マスコミ対策を担当。1994年~97年にかけ、セガ・エンタープライズの海外事業展開を担当。1997年にフライシュマン・ヒラードに参画し日本オフィスを立ち上げ、代表取締役に就任。日本の戦略コミュニケーション・コンサルタントの第一人者。近著に「オバマ戦略のカラクリ」「破壊者の流儀 不確かな社会を生き抜く”したたかさ”を学ぶ 」(共にアスキー新書)がある。

☆twitterアカウント:@ShinTanaka