コミュニケーションの世界で生き抜くための3つの秘訣(前編)(フライシュマンヒラード 朝喝(アサカツ)* 第4回)

先週3人の面白い方々と会いました。さん、Kさん、TSさんです。

Tさんは大学の学長であると同時に、日本有数のシンクタンクの有識者としても有名です。

Kさんはクライシス・コミュニケーションでは、間違いなく日本No1の方です。

TSさんは長年、ソニーで活躍、その後、アメリカのグローバル企業の日本法人の責任者になるなど日本が誇るビジネス・マンです。

今日は、3名の方々とお会いし、僕なりに感銘を受けた事柄を皆さんとシェアーしたいと思います。

Tさんからは

「プロジェクト・エンジニアリングが重要だ」

という話を聞きました。

何か事を起こすときは、単に責任者や担当者に伝えるだけでなく、しっかりと相手が動いてくれるように周りから仕掛けていくことが重要。

例えば、大臣にこちらの意を伝えるだけではなく、その大臣がその役割を担ってくれるよう周りから様々な方法でfollowする努力が必要

これがプロジェクトを実現させるためのエンジニアリングであると説かれていました。

コミュニケーションの仕事もこのプロジェクト・エンジニアリングという考え方は重要です。

相手に伝えるだけでなく、確実に相手が動くよう周りから仕掛ける発想を持つことです。

コミュニケーションの目的は相手に伝えることだけではありません。

納得によって相手を動かし、目的を実現することです。

事を起こさずして、我々の仕事は成り立ちません。

Kさんからは印象的な言葉を聞きました。

「PRの本質は“アナログ”」。

コミュニケーションというものは、相手とどうインターフェースをとるかで2種類のものがあります。

1つは接触型で基本的にはFace to Faceのコミュニケーションです。

もう1つは非接触型で一番代表的なのはメールです。

Kさんがアナログと言ったのは、このFace to Faceのコミュニケーションのことです。

顔を付き合わせたコミュニケーションはメールなどの非接触型に比べると精神的な負荷(痛み)を伴います。

デジタルであるネットが発達すると、精神的な負荷の少ないメールなどの非接触のコミュニケーションに頼る傾向が出てきます。

言い換えればアナログ的なコミュニケーションから逃げているのです。(つづく)

*「フライシュマンヒラードの朝喝(アサカツ)」。このシリーズでは、フライシュマン・ヒラード・ジャパン・グループで毎週行っている社員向けのスピーチの一部を紹介していきます。最新のコミュニケーション・ビジネス事情、心得など社内で話しているテーマを垣間見ることができます。

~~~~~~~~~~~~~~~筆者経歴~~~~~~~~~~~~~~~~~

田中 慎一
フライシュマン・ヒラード・ジャパン 代表取締役社長

1978年、本田技研工業入社。
83年よりワシントンDCに駐在、米国における政府議会対策、マスコミ対策を担当。1994年~97年にかけ、セガ・エンタープライズの海外事業展開を担当。1997年にフライシュマン・ヒラードに参画し日本オフィスを立ち上げ、代表取締役に就任。日本の戦略コミュニケーション・コンサルタントの第一人者。近著に「オバマ戦略のカラクリ」「破壊者の流儀 不確かな社会を生き抜く”したたかさ”を学ぶ 」(共にアスキー新書)がある。

☆twitterアカウント:@ShinTanaka