仏教は戦略コミュニケーションに通ずる(コミュニケーション百景 第14回)

今回のコミュニケーション百景は仏教の話から。「仏教と戦略コミュニケーション?」と思う事なく、しばしお付き合い願いたい。

無我、無常とは仏教における「空」を解くための概念。「空」を理解する事は難しい。

理解とはあくまでも左脳的把握を意味する。「空」はどうも右脳的把握が必要。

「空」とは何事にもこだわらない融通無碍で自由な境地ではと今のところ考えている。

そのためには2つのことを体感、体得、自覚することが必要。それが無我と無常。

無我とは自分という存在は周りとの関係性の中で自覚されるものという考え方。

「お陰様で」、「ご縁を大切に」、「周りから生かされている」などの表現は、この無我の発想から来る。

東洋的な考え方。無常は自分を自覚させている関係性が絶えず変わる中で、関係性の呪縛を解き、どう融通無碍に自分を自覚出来るかと云うこと。

これが出来ると「真の自由を得る」と仏教では考える。

仏教論はここまで。戦略コミュニケーションの発想からは3つの事を認識することが重要。

  1. 自己の立ち位置は周りとの関係性の中で確立する。
  2. しかし、その関係性は絶えず変化、関係性の変化に応じて自己の立ち位置を不断に確立して行くことが必要である。
  3. 関係性の変化への対応だけではなく、自らも関係性を変化させて行く戦略性が重要である。結果、戦略的な立ち位置がつくれる。

この3つの戦略コミュニケーションの発想、国や企業の立ち位置をつくる時も肝要。

*「コミュニケーション百景」。このシリーズのモットーは“コミュニケーションを24時間考える”です。寝ても覚めてもコミュニケーションを考えることを信条にしています。コミュニケーションでいろいろと思いつくことを書き綴っていきたいと思っています。

~~~~~~~~~~~~~~~筆者経歴~~~~~~~~~~~~~~~~~

田中 慎一
フライシュマン・ヒラード・ジャパン 代表取締役社長

1978年、本田技研工業入社。
83年よりワシントンDCに駐在、米国における政府議会対策、マスコミ対策を担当。1994年~97年にかけ、セガ・エンタープライズの海外事業展開を担当。1997年にフライシュマン・ヒラードに参画し日本オフィスを立ち上げ、代表取締役に就任。日本の戦略コミュニケーション・コンサルタントの第一人者。近著に「オバマ戦略のカラクリ」「破壊者の流儀 不確かな社会を生き抜く”したたかさ”を学ぶ 」(共にアスキー新書)がある。

☆twitterアカウント:@ShinTanaka