メッセージ発信の“レーダー機能”を活用せよ(戦略コミュニケーションで斬る*第15回)

メッセージ発信は相手に何かを伝えるだけではない、

メッセージを発信することによって相手の反応を読み、

その狙いや動きを察知することも重要な目的である。

そして、そのメッセージ発信の“レーダー機能”が今後はますます重要になる。

相手に何かを伝える前に、相手を知る事がコミュニケーションの原則。

ところが、今までは黙って観察するだけで相手を知ることができたが、価値観の多様化、世界の多角化、意識の流動化によって観察だけでは、相手を知る事が難しくなってきている。

いわば「肉を切らせて、骨を断つ」発想が求められる。

更に、コミュニケーションは「後だしジャンケン」が基本であるという事も忘れてはならない。

相手の手の内を知らずにこちらから発信するのは危険と云う発想をする。

しかしこれからは、あえてこちらからメッセージを発信するリスクを冒してでも、相手の真意を探る事が必要となる状況が増えてくる。

企業の最前線、外交、安全保障の場では、今後レーダーのように色々なメッセージと云う電波を発信、その反応を読み相手の狙い、動きを察知する機能が必要となる。

*「戦略コミュニケーションで斬る」。このシリーズでは、様々な時事的な事象を捉えて、戦略コミュニケーションの視点から分析、戦略コミュニケーションの発想から世の中を見ていきます。

~~~~~~~~~~~~~~筆者経歴~~~~~~~~~~~~~~~~

田中 慎一
フライシュマン・ヒラード・ジャパン 代表取締役社長

1978年、本田技研工業入社。
83年よりワシントンDCに駐在、米国における政府議会対策、マスコミ対策を担当。1994年~97年にかけ、セガ・エンタープライズの海外事業展開を担当。1997年にフライシュマン・ヒラードに参画し日本オフィスを立ち上げ、代表取締役に就任。日本の戦略コミュニケーション・コンサルタントの第一人者。近著に「オバマ戦略のカラクリ」「破壊者の流儀 不確かな社会を生き抜く”したたかさ”を学ぶ 」(共にアスキー新書)がある。

☆twitterアカウント:@ShinTanaka