今、目の前にあるチャンス(戦略コミュニケーションで斬る*第12回)

世界が多極化する中で、国の発信力が益々問われて来る。

一国の発信力はこれからますます弱まって来るのが世界の趨勢である。

アメリカや中国と言えども、世界世論の流れには抗えなくなって来ている。

今後、国の発信力を上げて行く装置やプラットフォームが求められて来る。

国の世界への発信を拡声する装置の一つに国際会議がある。

大きく2つに分かれる。ダボス会議のようなNGOなどが主催する会議とG8サミットのように国家レベルで主催される会議である。

いずれにせよ、国際会議という拡声器を利用、世界世論をリードする事が国の発信力に必要となる。

その鍵は課題設定力である。

世界の課題をいち早く先取り、イニシアティブをとる。

その課題解決のために自国の知見、経験、知識を供出、他の国々の支持、協力を取り付けながら世界世論を引っ張っていく。

国益と世界益を一致させる広義の安全保障につながる。

フクシマに象徴される世界の課題を設定できるチャンスが、今、目の前にある。

従来の国際会議だけでなく、日本自からイニシアティブを取るフクシマ会議の開催は日本の今後の発信力を強める装置として真剣に考える価値あり。

タイミングは今年しかない。

*「戦略コミュニケーションで斬る」。このシリーズでは、様々な時事的な事象を捉えて、戦略コミュニケーションの視点から分析、戦略コミュニケーションの発想から世の中を見ていきます。

~~~~~~~~~~~~~~~筆者経歴~~~~~~~~~~~~~~~~~

田中 慎一
フライシュマン・ヒラード・ジャパン 代表取締役社長

1978年、本田技研工業入社。
83年よりワシントンDCに駐在、米国における政府議会対策、マスコミ対策を担当。1994年~97年にかけ、セガ・エンタープライズの海外事業展開を担当。1997年にフライシュマン・ヒラードに参画し日本オフィスを立ち上げ、代表取締役に就任。日本の戦略コミュニケーション・コンサルタントの第一人者。近著に「オバマ戦略のカラクリ」「破壊者の流儀 不確かな社会を生き抜く”したたかさ”を学ぶ 」(共にアスキー新書)がある。

☆twitterアカウント:@ShinTanaka