いよいよ総選挙迫る、自民vs民主メッセージ戦争開幕

いよいよ2003年の衆院選から始まった自民vs民主の政権交代をめぐるコミュニケーション戦争が終盤選を迎えつつある。

小沢一郎の西松疑惑、鳩山総務大臣辞任の顛末など、支持率のシーソーゲームが演じられている。
基本的には自民も民主もどちらも国民の支持を得ているとは言いがたく、双方の”敵失”によって支持が振れる状況である。

今のところ民主に風が吹いているように思われるが、いつ何時、風向きが変わるかは予断を許さない。2003年から2005年と国政選挙に関与してきたが、経験上、支持率というものは、「あまりあてになるものではない」というのが正直な感想である。
基本的には何の支持率であれ、50%以上超えていない限り、あまり意味のあるものではないというぐらいに考えたほうが妄想が膨らまず、現実的である。

内閣に対する不支持率が支持率の3倍以上になっていることは、確かに政権の末期症状といえるかも知れないが、相手である民主も、その支持率はいたって低調であることを考えると「流れは完全に民主」と言い切れる状況ではまったくない。20%から40%あたりを“うろうろ”している支持率というものが、実際の投票に与える影響を一般的に過大視する傾向がある。
とは言え、やはり支持率は実際に選挙をする当事者にとっては無視できないものである。いずれにしても、総選挙まで自民、民主両党ともへたなメッセージを発信してしまうと、そのたびに支持率のシーソーゲームが起こることになる。これから選挙結果がでるまで、定期的に自民、民主のメッセージを分析、その評価を戦略コミュニケーションの視点から読み解くことにする。

今回の日本郵政の西村社長続投問題で自民党は確かにみそをつけたことは否めない。しかしながら、今回の鳩山総務大臣辞任騒動だけで内閣支持率が20%を切ったわけではない。確かに日本郵政社長人事問題によって麻生首相のリーダーシップの欠如が露呈したことが支持率低下に影響したことは事実だか、一方で国連の北朝鮮制裁決議がなされ、北朝鮮が2回目の核実験の可能性を示唆、敵意をむき出しにしたことが、リーダーシップの欠如に対する国民感情の不安をより煽りたて、支持率低下に拍車をかけている。

また、先週、麻生総理が発表した温室効果ガスの15%削減目標値についても、メッセージ性の視点から及第点は与えられない。
目標削減数値そのものについては、いろいろな見方があるので、そこでの言及は差し控える。この発表が国民にどのようなメッセージを伝えたかに言及する。支持率を下げているもうひとつの事象がある。麻生総理による異例の都議選への入れ込みである。
北朝鮮問題、年金問題、失業対策、格差拡大、医療制度問題などなど日本が国レベルで早急に対応を迫られている諸々の課題そっちのけで、都議選の応援に勤しんでいる麻生総理の姿は、国民視点からすると、内閣総理大臣としての当事者意識が欠落している印象を残す。

「都議選で負けると総選挙に勝てない」ということで自民党あるいは自分の保身に走っているといったメッセージを国民に発してしまう。

ましてや、名古屋、さいたま、千葉の各市長選で自民惨敗の中で、自民党総裁選の前倒しという議論が自民党内で盛り上がり始めると、自民党政権存続をかけて、自民党がなりふりかまわず、党利党略に走っているといった印象を与えている。鳩山総務大臣騒動、北朝鮮の動向、そして総理の都議選に対する姿勢などの事象が複層的に絡み合い、国民に対して「国民視点に立った当事者意識の欠如」といったメッセージを発信してしまい、その結果、内閣支持率が20%を切り、不支持が支持の3倍以上になるという結果になった。