日本のコミュニケーションは、どこが違うのか(コミュニケーション百景* 第7回)

今回のブログは、今までのツイートの中からコミュニケーションに関するものについて、語り尽くせなかったものを書き込んで行きたいと思います。

@shintanaka 3月11日 8:19 のツイート

日本のグローバル戦略は未だ現地最適が基本。現地日本人駐在者による関東軍方式。これからは現地最適とグローバル最適を分けること肝要。ヒト・カネ・コミュニケーションはグローバル最適。特にネットの時代、コミュニケーションのグローバル最適は必須。本社のグローバル広報機能強化は不可欠。

‎80年代、「米国ホンダ」という関東軍のメンバーだった。日本に何がわかる!アメリカのことはアメリカで仕切る!と当時は息巻いていった。本社無視の姿勢。当時はネットがなかった。コミュニケーション上の問題が発生した場合、アメリカだけで完結できた。

今は違う。この前のトヨタのリコールが良い例である。トヨタは6ヶ月動かなかった。北米だけで対応出来ると思っていた。

これからはコミュニケーションに関しては日本本社で仕切ることが重要になってくる。

本社で戦略グローバル広報の機能を強化する時代になる。

@shintanaka 3月26日 9:28のツイート

コミュニケーションで最も厄介な相手は自分。「我思う、ゆえに我あり」デカルトの言葉。我思うところが始末が悪い。碌でもない事を考えるのが人間。考えれば考える程に誇大妄想の世界。結果何事も起きない。解決策、とにかく動く。心や意識はあとからと割切る覚悟。自分とのコミュニケーションの要諦。

人間は妄想する動物。思考することと妄想することとの境界線があまり明確でない。

思考していると思っていることが、実は妄想であることしばしば起こる。

ここが怖い。

これに呪縛される。

大いに悩む。

かなり悲観的になる。

怖くなって動きが取れなくなる。

ここがヤバイ。

人間は基本的に弱く、怠け者。ほって置くと、この妄想に喰われてしまう。

この妄想地獄から抜け出すには、小さくてもいいので、とにかく動くこと、何らかの行動をとること。

そこから何かが見えてくる。すると、そこに妄想ではなく、思考が、意識がついてくる。

これ結構、本質的な真理。

@shintanaka 3月26日 9:35 のツイート

ボケと突っ込みは日本のコミュニケーションの強かさ。ボケることによって一旦相手の土俵にのる。乗ってくれたと相手が安心した所を突っ込む。欧米流は相手を土俵に乗せようと躍起になる。お互いが張り合う。対立を生む。関西人の方が関東人よりコミュニケーション巧者。対立を生まない日本流の妙味。

土俵の奪い合いが欧米のコミュニケーションの本質。

そこには是非の構造がある。こちらが是で相手が非。

こちらが正しいという前提で相手を説得する。

説得のコミュニケーション。

デイベートがいい例である。一神教的な発想で、対立を前提としている。

日本の場合は納得のコミュニケーション。

相手との折り合いをつけられる落とし所を探す。

よって相手の土俵に一旦乗ってしまう。

相手が呆気に取られているうちに攻めるというやり方。これがボケと突っ込みである。

多様性に対する寛容な態度、自分の考えに固執しない柔軟性が日本のコミュニケーションの強み。

日本人は主張がないとか、優柔不断だとか、ハッキリしないなどと批判されるが、気にすることは全くない。

多様性と柔軟性を兼ね備えた日本のコミュニケーションがこれからますます世界で求められてくる。

*「コミュニケーション百景」。このシリーズのモットーは“コミュニケーションを24時間考える”です。寝ても覚めてもコミュニケーションを考えることを信条にしています。コミュニケーションでいろいろと思いつくことを書き綴っていきたいと思っています。

~~~~~~~~~~~~~~~筆者経歴~~~~~~~~~~~~~~~~~

田中 慎一
フライシュマン・ヒラード・ジャパン 代表取締役社長

1978年、本田技研工業入社。
83年よりワシントンDCに駐在、米国における政府議会対策、マスコミ対策を担当。1994年~97年にかけ、セガ・エンタープライズの海外事業展開を担当。1997年にフライシュマン・ヒラードに参画し日本オフィスを立ち上げ、代表取締役に就任。日本の戦略コミュニケーション・コンサルタントの第一人者。近著に「オバマ戦略のカラクリ」「破壊者の流儀 不確かな社会を生き抜く”したたかさ”を学ぶ 」(共にアスキー新書)がある。

☆twitterアカウント:@ShinTanaka