震災復興の覚悟はあるか(戦略コミュニケーションで斬る*第7回)

この度は、東日本大震災について被害に合われた皆様に、謹んでお見舞い申し上げます。

3月11日の震災以来、ブログ発信を停止、かわりに震災や原発事故に関係する事象を観察しながら、戦略コミュニケーションの視点からTwitter発信を行ってきました。今日からTwitterに加え、戦略コミュニケーションの発想をテーマにブログを再開します。

戦略コミュニケーションの発想をなるべく多くの人々や組織に持ってもらう。

結果として日本が強かになる。

これがこのブログの目的です。

「コミュニケーションのチカラで日本を武装する」

このブログのMissionです。

今まで震災、原発事故がらみのツイートでは語り尽くせなかったものを書き込んで行く事から始めたいと思います。

今後ともよろしくお願いします。

@shintanaka 3月19日 16:33のツイート

茨城県のホウレン草、福島県の牛乳、食品衛生法の暫定基準値上回る放射線量。官房長官会見、「責任有無よりもまずは国民の安全最優先」という初動メッセージは適切。今後の政府のメッセージ発信注目。クライシス・コミュニケーションの政府の学習能力が問われる。

基準値を超える放射線量がホウレン草や牛乳などに含まれていた事は、震災の被害対応、原発事故への対処に加えて、新たな事態である。よく想定してなかったと批判されるが、クライシスはそもそも想定外のところで起こる。

想定など100%できないからクライシスなのである。

重要なのは想定外のクライシスが発生した時、試行錯誤しながらもどれだけ早く対応する事ができるかである。

さらには想定外の事態であるクライシスに対してどれだけ学習能力を働かせられるかである。

今回はすでに2つの想定外の事態に対応している。これらからどれだけ学べたかである。

まさに政府の学習能力が問われる。

@shintanaka 3月19日23:47のツイート

谷垣自民総裁への入閣要請、小沢氏への協力要請、多くの協力を確保すべく動く。クライシス・コミュニケーションの基本。あとは菅首相に政局観を自ら外すだけの意志と覚悟があるか。RT @asahi: 小沢氏・首相会談震災後初、政権への協力約束 http://t.asahi.com/1p6g

挙国一致で震災のクライシスを一刻でも早く終息させるために大連立を組むという考え方は有事コミュニケーションの視点からは正しい。例え相手が競争相手であっても、あらゆる関係者から支持・協力を取付けることによってリーダーシップを発揮する。

この姿勢が強いメッセージを発信する。問題は今回の菅首相の谷垣総裁への入閣要請を多くの人々(民主党も含め)が政局絡みとして捉えていることである。実際に首相の意向も政局観ゼロとは言えないかもしれない。

いずれにせよ、あくまで震災復興の為の時限立法での大連立であることを菅首相がどれだけ確信しているか、その意志の強さと、それを実現する覚悟があるかである。

これが不十分だと自民党にも国民にも見透かされる。

見透かされれば自ら墓穴を掘ることになる。

*「戦略コミュニケーションで斬る」。このシリーズでは、様々な時事的な事象を捉えて、戦略コミュニケーションの視点から分析、戦略コミュニケーションの発想から世の中を見ていきます。(前回の「戦略コミュニケーションで斬る」はこちらから)

~~~~~~~~~~~~~~筆者経歴~~~~~~~~~~~~~~~~

田中 慎一
フライシュマン・ヒラード・ジャパン 代表取締役社長

1978年、本田技研工業入社。
83年よりワシントンDCに駐在、米国における政府議会対策、マスコミ対策を担当。1994年~97年にかけ、セガ・エンタープライズの海外事業展開を担当。1997年にフライシュマン・ヒラードに参画し日本オフィスを立ち上げ、代表取締役に就任。日本の戦略コミュニケーション・コンサルタントの第一人者。近著に「オバマ戦略のカラクリ」「破壊者の流儀 不確かな社会を生き抜く”したたかさ”を学ぶ 」(共にアスキー新書)がある。

☆twitterアカウント:@ShinTanaka