"広報官”と"報道官”の三つの違い(戦略コミュニケーションで斬る*第9回)

今回のブログは、今まで震災、原発事故がらみのツイートでは語り尽くせなかったものを書き込んで行きたいと思います。

@shintanaka 3月27日 12:50のツイート

意識しないコミュニケーションは危険。コミュニケーション力の怖さは意識しなくても作動する。結果、相手が想定外の反応。意識するにはまず何のためにコミュニケーションをしているのか、目的意識を持つ。東電やみずほの会見、日本のリーダーが日頃からコミュニケーションを意識していない事一目瞭然。

コミュニケーションを日頃から意識する事は重要。武力、財力、権力などの他のチカラと違って、コミュニケーションは意識しなくても作動してしまう力。気がつかないうちに、相手がこちらから何らかのメッセージを勝手に受け取り、反応してしまう。

人間は一人の時以外はメッセージを垂れ流していると考えた方がいい。ましてや、こちらが発する言葉だけではない。

目つき、表情、態度などの非言語によって周りの人びとは勝手に色々なメッセージを受け取ってしまう。

ここに自分が発信してしまった事が99%誤解されるか、曲解されるかという世界がでてくる。日常からコミュニケーションを意識する。

@shintanaka 3月27日 19:01のツイート

日本では広報官。米国では報道官。何が違う。
①専門度合いが違う。日本は順繰り人事で配置、米国はコミュニケーション専門家を配置。
②意思決定への参画度合いが違う。日本は決まった事を報道、米国は決める過程に参加。
③実践経験度合いが違う。日本は官一筋、アメリカは民間での修羅場経験者。

ホワイトハウスのコミュニケーションスタッフは相当数が大統領選挙のコミュニケーション戦略の策定、実施に携わった人材である。

アメリカの大統領選挙は車のF1グランプリの様なものである。

F1が自動車の最先端技術の場である様に、大統領選挙はコミュニケーションの最先端技術を開発する現場である。

前回の選挙では、オバマのインターネット戦術が注目された。4年に1回ある大統領選挙はアメリカのコミュニケーションのチカラを底上げするインフラと言える。

かたや日本においては、順繰り人事によって広報官に配置される。コミュニケーションにおいては、全くの素人である。

外務省など省庁レベルで広報官をおいているところは局長クラス、首相官邸では審議官、事務次官レベルと高い地位にあった人材がなるがコミュニケーションのプロではない。

その根底にある考え方は「政策がよければ伝わる」、「内容さえしっかり知っていればうまく伝わる」と言ったものである。これはアメリカとは真逆の考えである。

アメリカは「政策がどんなに良くても伝わらない」、「内容をよく知っていてもうまく伝えられない」という考え方をする。伝える技術の専門性を認める土壌が生まれる。

*「戦略コミュニケーションで斬る」。このシリーズでは、様々な時事的な事象を捉えて、戦略コミュニケーションの視点から分析、戦略コミュニケーションの発想から世の中を見ていきます。(前回の「戦略コミュニケーションで斬る」はこちらから)

~~~~~~~~~~~~~~筆者経歴~~~~~~~~~~~~~~~~

田中 慎一
フライシュマン・ヒラード・ジャパン 代表取締役社長

1978年、本田技研工業入社。
83年よりワシントンDCに駐在、米国における政府議会対策、マスコミ対策を担当。1994年~97年にかけ、セガ・エンタープライズの海外事業展開を担当。1997年にフライシュマン・ヒラードに参画し日本オフィスを立ち上げ、代表取締役に就任。日本の戦略コミュニケーション・コンサルタントの第一人者。近著に「オバマ戦略のカラクリ」「破壊者の流儀 不確かな社会を生き抜く”したたかさ”を学ぶ 」(共にアスキー新書)がある。

☆twitterアカウント:@ShinTanaka