有為な人材とは何か(戦略コミュニケーションで斬る*第14回)

今回は有為な人材とは何かを考えてみたい。

以下、5月22日付の日経新聞、風見鶏の中で取り扱われた文章である。

国家の危機に有為な人材を登用するのは当然。

官房副長官に就いた後、萎縮していた官僚たちを「俺が責任をとる」と言って奮起させたのは、仙谷氏だ。

人事の評価を一概には決めつけられないが、それにしても「他に人はいないのか」と言いたくなってしまう。(2011年5月22日日経新聞2面 風見鶏より抜粋)

有為な人材とは何かを考えてみる。

大辞林をによると、有為とは「形や状態をつくる事ができる」と云う意味合いであるそうだ。

すると、それができる人材が有為な人材ということになる。

具体的な状態をつくるためには、人の世である限り、自分以外の周りの人々がその状態をつくるために行動を取って貰わないと実現できない。

言い換えると有為な人材とは人々を行動させる人材のことである。

「俺が責任をとる」と云う一言が官僚を奮起させ、行動させる。

しかし、それは言葉だけの問題ではない。

人が言葉からメッセージを受け取る比率は35%と言われている。残りの65%は非言語による。

その非言語の殆どがその人の覚悟、つまり意志のあり方によって左右される。

覚悟する事ができるか否かがメッセージ性を決める。

*「戦略コミュニケーションで斬る」。このシリーズでは、様々な時事的な事象を捉えて、戦略コミュニケーションの視点から分析、戦略コミュニケーションの発想から世の中を見ていきます。

~~~~~~~~~~~~~~筆者経歴~~~~~~~~~~~~~~~~

田中 慎一
フライシュマン・ヒラード・ジャパン 代表取締役社長

1978年、本田技研工業入社。
83年よりワシントンDCに駐在、米国における政府議会対策、マスコミ対策を担当。1994年~97年にかけ、セガ・エンタープライズの海外事業展開を担当。1997年にフライシュマン・ヒラードに参画し日本オフィスを立ち上げ、代表取締役に就任。日本の戦略コミュニケーション・コンサルタントの第一人者。近著に「オバマ戦略のカラクリ」「破壊者の流儀 不確かな社会を生き抜く”したたかさ”を学ぶ 」(共にアスキー新書)がある。

☆twitterアカウント:@ShinTanaka