消費者が変わる-マーケテイング総力戦の時代来る(1)

これからのマーケテイングが直面する最大の課題は“多様性”である。

この“多様性”というテーマをマーケテイングはどう向き合っていくのかがますます問われてくる。

“多様性を生き抜くオバマの戦略コミュニケーションの視点から、このテーマを考えてみる。

まず、消費者が多様化している。消費者の“価値観”が変わってきている。

消費者の“ロイヤリテイー”が変わってきている。そして、消費者の“関心事”も変わってきている。

さらに、消費者が情報やメッセージを受け取る“メデイア”も多様化してきている。新聞やテレビなどの従来のマスコミに加えCGM、ケータイ、iPod、フリーペーパーなどなど。

BlogやSNSなど消費者自らが積極的に情報やメッセージ発信するメデイアが急速に増えている。

それが他の消費者の購買動機に大きな影響を与え始めている。

しかも、これら多様化したメデイアを通じて、消費者に流れていく“情報”も質・量ともに多様化している。

このような状況の中では、“どの消費者”に対して、“どのメデイア”を通じて、“どの情報”を伝えるかを今まで以上に、きめ細かくフォローすることが必要になる。

一方で、“マーケテイング丸裸の時代”の到来である。「明日の広告」(アスキー新書)で著者の佐藤尚之氏が“商品丸裸の時代”という表現を使って、もはや商品の販売において“都合の良い”情報だけ出せば良いという時代ではないことを強調している。

言い換えれば、商品が“360度”消費者から評価される時代になったということである。

これは商品だけのことではない。

その商品を売るためのマーケテイング活動そのものが消費者から“見透かされる”時代になったことを意味する。

もはや、クリエイテイブなテレビ・コマーシャルだけで商品が売れるという時代ではない。

“広告だ!”“PRだ!”と分けて考える程、悠長なことは言っていられない。広告やPRだけではない、あらゆるコミュニケーションの方法を創意工夫、融合、変わりゆく消費者とコミュニケーションすることがマーケテイングに携わるすべての人々に求められてくる。

所謂、“コミュニケーション・ニュートラル”の発想である。

そこには“コミュニケーションを組織する”ということが必要になる。

多様な情報を、多様なメデイアを通じて、多様な消費者にメッセージを打ち込んでいくわけだが、そこではメッセージの一貫性をどう保つか が死命を制する。メッセージの一貫性を保つには、誰(消費者)に対して、どのようなメッセージを、どのようなタイミングで、どのような方法で、どのような 場で伝えきるかを“ひとつ意志”の下に組織化することが必要不可欠である。

それを支える組織力がなければメッセージの一貫性は保てない。

まさに、マーケテイング総力戦の時代到来である。

オバマはアメリカの広告雑誌であるAdvertisement Age誌において2008年度の“Marketer of the Year”を受賞した。

オバマは多様化するアメリカの国民に対して”自らを売り込む“ことに成功した。そこには、多様性の中で消費者から圧倒的な支持を取りつけるためのヒントがあると考える。